鎮守 青龍殿の修復及び周辺整備
峯巍々として聳え、雲皓々と横たわる山科の山地に生まれた古代寺院・安祥寺は、無限の過去から無限の未来へとつながる一切衆生のいのちと同じように、1200年のいのちをつないで現在に至っています。上・下両所の伽藍をはじめ塔頭の坊舎700余宇と言われた盛観は失われましたが、今に残る草木にいたるまで伽藍境内のすべては過去から未来へつながるお寺のいのちの大事な通過点です。
『鳥獣草木の声や響きはすべて仏のことば』と感じられるような森厳なる伽藍に身を置き、自分自身を見つめ、生きていることの素晴らしさを再発見する、そんな空間、伽藍を無限の未来へつないで行きたいと考え、安祥寺発祥の原点とも言える聖域である「鎮守 青龍殿」の修復と周辺の整備を行う事といたしました。
国宝、重要文化財をはじめ貴重な仏像は、戦乱の中を数えきれない多くの人々の心と助けによって今日まで守り伝えられてきました。
その貴重な文化財を多くの皆様にご覧いただくことも寺院の務めです。
一人一人が本尊 十一面観音菩薩の大慈悲心に包まれ、そして、静かに伽藍境内に歩みを進めて頂く、そんなお寺を思い描いています。
安祥寺 第六十六世 住職 藤田瞬央