真言密教の教主・大日如来の無限の永遠なるいのちは、この世のあらゆるものに光と熱を与えて隔てなく育てる太陽のように、私たちのいのちを包み育てています。宗祖・弘法大師は、「大日如来と私たち衆生は本質的に異なることはなく、同じ智慧を心の中に有している。目と心を覆っている霧を払い、ありのままの自分を見つめ、本当の自心を知ること(如実知自心)がそのまま仏さまの智慧である」と説かれています。この大日如来の総徳を四仏に分けて五仏としたのが五智如来で、安祥寺には開創後間もなく『五智如来座像』(国宝 現在京都国立博物館に寄託)が造像され、上寺の礼仏堂に祀られ、江戸時代には現伽藍の多宝塔に安置されていました。
五智遍明庭(ごちへんみょうてい)は、五つの智慧の鏡をかかげてこの法界に住まう生きとし生ける一切衆生を遍く照らす五智如来(中央の五石)と、六大(地・水・火・風・空・識)所生の生きとし生ける一切衆生(白砂、石や木々)を表しています。
大日如来(だいにちにょらい) バン 中央 法界体性智(ほうかいたいしょうち)
宇宙(法界)の真理そのものである法身大日如来の持つ絶対的な智慧
阿閦如来(あしゅくにょらい) ウン 東方 大円鏡智(だいえんきょうち)
鏡のようにありのままに全てを見る智慧
宝生如来(ほうしょうにょらい) タラク 南方 平等性智(びょうどうしょうち)
この世の全ての平等を知見する智慧
阿弥陀如来(あみだにょらい) キリク 西方 妙観察智(みょうかんざっち)
衆生をよく観察し違いを見分けて誤らない智慧
不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい) アク 北方 成所作智(じょうそさち)
実際の行動、実践を働きかける実動的な智慧
スナゴケの植え付け等の作庭は、名実共に古刹の歴史に刻む復興プロジェクトにご賛同いただいた「安祥寺復興衆」の皆様によって完成されました。